2020年01月12日
台湾茶について その3
20世紀に入ると台湾茶は飛躍的に技術や製造が発展されていきます。1900年頃、中国福建省安渓を産地とする安渓鉄観音の苗とその製法が台北・木柵地区に持ち込まれ、鉄観音の製茶技術を学び木柵鉄観音を生産されました。木柵鉄観音は発酵や焙煎が強く、香ばしい焙煎香を感じられます。茶葉は小さく丸く引き締まっており、色は艶のある琥珀色で現在では台湾の代表される茶となっています。1903年には台湾茶製造試験場(現在の台湾省茶業改良場)が設立されました。1925年にはインドから輸入された3つの種子と南投県魚池の山林で採取された1つの計4種の種子の苗を研究所で栽培されました。1936年に茶業改良場魚池分場が「中央研究所魚池紅茶試験支所」として創業され、茶園に移植されました。こうしてできたのが台湾紅茶のはじまりです。茶葉の専門家を台湾全土に派遣し各生産地の地理的環境や土壌、気候、製造品質を調査し試験と研究を重ねました。さらにタイやミャンマー、中国湖南省、インドダージリンやアッサム地方から大葉種の茶種を輸入し、台茶1号、2号などの品種を生み出しました。ちなみに台茶は23号まであり、昨年に24号が育成されています。魚池分場のある南投県には山々がそびえ立ち、一部が茶園として開発されて大葉樹から小葉樹まで様々な品種が植えられています。南投県で多く生産されているのが日月潭(にちげつたん)という所です。日月潭は台湾最大の湖であり、観光地として知られています。この一帯で栽培、生産をされていて気候も良く、茶樹の成長に適しているとされています。ここで生まれたのが紅玉という紅茶です。ミントの様な強い香りが特徴的で完全発酵された渋みの少ない飲みやすく、また最高品質とされ台湾紅茶の中では一番の紅茶といえます。戦後になり、台湾は日本の統治時代が終焉、その後も紅茶の輸出に力を入れました。1960年代からは台湾東部花連県でも紅茶の生産が行われました。1975年には茶葉の残留農薬検査を実地、害虫駆除も農薬を極力使わないよう指導されています。1980年代に花蓮県政府が無農薬有機農法での茶の栽培を推進したところ、茶樹に大量のウンカが発生し、試しにそれを製茶したところ、濃厚で芳醇な蜜の香りのする紅茶ができたのが蜜香紅茶です。蜜のような非常に薫り高い芳香を持つことからこのように呼ばれ、台湾各地で産地や使われる茶樹品種も様々あります。近年では台湾紅茶のブランド力に注目されつつあります。