2022年11月19日
宇治茶について その1 発祥
宇治茶は京都府南部の宇治市やその周辺で生産されている茶産地を指します。宇治茶の定義は京都・奈良・滋賀・三重の4府県産茶を京都府内業者が京都府内において、京都府南部の宇治地域に由来する製法により仕上加工したものであります。京都府茶業組合が商標登録されており、静岡茶、埼玉の狭山茶と並んで日本三大茶ともいえます。宇治茶には古くからの歴史があるうえ、煎茶や玉露、抹茶の製法の技術が確立された場所です。宇治市内において世界遺産でもある平等院正門前には宇治製茶記念碑が、巨椋神社(おぐらじんじゃ)には玉露製茶発祥の碑があります。宇治茶の発祥は栄西禅師(1141-1215)が中国宋朝から持ち帰った種を明恵上人(1173-1232)に送ったところから始まります。明恵上人はその種を京都市北部の栂尾に植え、そこから茶の栽培がはじまりました。それ以降、平等院や木幡などにも植えられ、栂尾で生産された茶を"本茶"、それ以外の場所での生産は"非茶"と呼ばれました。宇治茶という語が使われるようになったのは南北朝時代の雅楽家豊原信秋 (とよはらののぶあき 1318-1386)が覚王院の僧正に献上したことが『信秋記』という書物に書かれたのが初出とされています。