茶の原型 その2
スウェーデン人のカール・フォン・リンネ(1707-78)は生物分類学の父ともいわれ、野外観察を行ったことによって新たな知識や発見を生み出し、高名な科学者として世界で知られ、教育者としてもたたえられる人物です。自然に存在するものを植物界・動物界・鉱物界の三界に分類し、『自然の体系』という著書においては、それまでの類似する生物についての相違点を書き記しています。また、○○目△△科××属のような分類単位(例えば、サクラはバラ目バラ科スモモ属)やCamellia sinensisのような学名を体系化させたのもリンネです。現在の生物の学名はこれに沿って国際的な命名規約に基づいて決定されて今に至っています。ただ、これが引き継がれているのではなく、さらなる学者による発展が行われています。それらは1753年に出版された『植物学』という著作で、動植物3000種以上ものが学名分類、体系化されています。その中にはチャノキについても記されています。チャノキはツツジ目ツバキ科 ツバキ属チャノキ種という学名が付けられています。ツバキ科は英語でTheaceae(テア・シネンシス)と名付けられていて、さらに「チャには花弁が6枚のものと9枚のものとがあり、あるいは別種に属すかもしれない」とも記載されています。その後、緑茶をThea bohea (テア・ボヘア)、紅茶をThea viridis(テア・ヴィリディス)と改称されました。しかし、リンネの死後、同じ木から紅茶と緑茶が作られることが判明されると、イギリスの植物学者ロバート・スウィート(1783–1835)が、
チャとツバキが同一種であると1818年に発表されました。ツバキ属Camelliaにチャノキなど250種類の種に分かれています。因みに日本で見られる椿いわばヤブツバキは学名ではCamellia japonicaとなり、これはリンネが命名されています。ただし、リンネは日本に訪れたことはなく、リンネの師弟関係であるカール・ツンベルク (1743-1828)が鎖国中の出島にオランダ商館付医師として赴任した際、多くの植物の研究もされたことでリンネにも伝わったとされています。話を戻しますが、
茶木の区分においてさらに分類が変更され、Camellia Sinensis var sinensis(中国種)・ var assamica(アッサム種)・f.macrophylla(中国大葉種)に分類されるまでに至っています。
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