抹茶について
最近、静岡の茶商が抹茶の外国市場への輸出の拡大に積極的に動き出したというニュースがありました。抹茶は近年菓子や飲料向けに欧米で人気が高まっています。
抹茶の原型は8世紀ごろの唐の時代に粉末状にした茶を茶釜で煎じた方法から基づいており、10世紀ごろの宋の時代、高級な団茶を茶碾で粉末にされたという文献記録があります。抹茶を入れた碗に湯瓶から湯を注ぎ、茶筅で練られていました。栄西(1141-1215)によってこの抹茶の製法を『喫茶養生記』でまとめられ日本に広まっていきました。
抹茶の原料となるのが
碾茶(てんちゃ)です。碾茶は、まず摘採まで少なくとも20日以上直射日光を遮り被覆栽培をします。そして刈り取った茶葉はその日のうちに蒸した後、揉捻を行わずに45℃前後の一定温度で乾燥させます。この碾茶を刻み、葉柄、葉脈などを取り除いて真の葉の部分だけにし、石臼で挽いて粉末にします。この工程は11月までに行われ、低温低湿の空調管理に仕上がっているのが望ましいとされています。碾茶の生産は京都が最も多く(全国で約2243tのうち770t)、次いで静岡県、愛知県、三重県と続きます。京都では宇治茶として、愛知県では西尾茶が全国茶品評会で産地賞を受賞されています。テアニンというアミノ酸の一種を含み、リラックスや集中効果があるとされています。
江戸時代では茶道として茶臼で挽いたものが主流で、濃茶と薄茶のものと分けられていたが、味はその年の茶畑や茶葉の仕上がりによって異なるために味わいを統一するために葉を組み合わせて配合されるものが作られ、甘みが強くより高価な茶に仕上がります。
http://bigai.world.coocan.jp/msand/powder/j_kieta.html 参照
明治に入ると抹茶は料理の食材として用いられるようになり、 明治天皇が病を患った際には抹茶アイスクリームを製造して献上されました。これは明治16年に東京銀座で創業され『御園の白』という銘の濃茶で今でも販売営業されています。(→店舗移転と店主の急病で経営困難に陥っているとのこと)他にも、和菓子や洋菓子に取り入れられたり、かき氷やパフェ、てんぷらにも使用されているほか、牛乳を用いた抹茶ラテもあり、一般家庭でも身近に作られます。
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